もう彼は手遅れだと思う。

青い人の話です。

大分前、まだなんとか会話ができていた頃は、それでもまだ希望というか改善の余地はあったのだけれども。アルコール依存症と同じで、壊れてしまった細胞はもう元に戻らないように、彼の壊れてしまった部分は二度と修復されることはないし、シラフに戻るとやってくる現実の絶望さに目を背けるために、アルコールの量だけが増えていく日々の中で、未だ自分が築いてきた砂の城を捨てられずにいる。その構図を見てなんとなく、賽の河原で石を積み上げる子ども達のことを思い出した。賽の河原で子ども達が石を積み上げるのは確か「父母のため」だったはずだ。

結局彼は、ずっと両親に褒められたかった人間で、うつ病になった今でもまだ、健気に両親の愛を求めているのだろう。


そんな彼が、「焼けた石を使えば目立つことができるんじゃないか」と気が付き、愛に飢えた餓鬼として、憔悴しきった表情で焼け石を積み重ねていく彼に、かける言葉はもうない。

そうして至るとこで焼け石を探し、全身焼け爛れていく彼は、ただひたすらに憐れである。

よしきさんと同じく、どこかで踏みとどまって欲しいと願う反面で、もうここまで来てしまっては、本気で全てを捨てる覚悟がなければ彼が変わることはできないだろうと感じる。

良き理解者も、もういない。良き指導者も、もういない。良き友も、良き仲間も、もういない。そんな彼の唯一の救いが石を積み上げることなのであれば、このまま老人になっても石を積み上げていくことが、彼にとっては最良の、地獄のようにも思えるのだった。